9 藤村庸軒作竹置筒花入 村越貯清斎(生没年不詳)通称は伊勢屋四郎次郎、別に円遊と号した。江戸浅草蔵前の札差で、茶法は小堀宗中に学んだ。銘「秋露」共箱・在判村越貯清斎・鵬雲斎大宗匠外箱古筆了意・大倉好斎極一一・九糎三四・〇糎置筒は竹花入の一種で、置き専用につくられた。これをはじめて好んだのは藤村庸軒といわれ、露(露は置くもの)・遅馬(かけられない)などと命名の才を発揮している。松花堂昭乗好 黒柿手付莨盆八田円斎 文久二年─昭和十一年(一八六二─一九三六)石川県金沢生まれ。茶人。美術商。指物師八田太郎吉の次男。幼時より茶湯に親しみ、杉江兵八に師事、のち裏千家十三代圓能斎の門に入った。その後東京で道具商を営むかたわら茶湯を教授し、また東都の数寄者と交わりをもった。家業の指物のほか、作陶にも長じた。八田円斎造 共箱長径 二七・六糎短径 一九・五糎高 二二・八糎10高 径 58
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